以前、こんな話を聞いた。
東京で神社関係者を集めて、
皇室典範の改正を巡り「男系限定」派の代表的な論客である
Y氏を招き、「なぜ男系でなければならないのか」といった
演題の講演会があった。
その時、講演終了後の質疑応答で、
会場から一人のご婦人がこんなを質問された。
「それで、なぜ男系じゃなくちゃいけないんですか?」と。
考え方によっては、これほど講師を馬鹿にした質問はない。
だが、彼女に全く悪気はなかった。
ただ素朴に、Y氏の講演の中で、
自分が納得出来る説明が最後までなかった、と感じたのだ。
この種の質問は、失礼と言えば確かに失礼だが、
私に言わせれば、逆に講演のポイントを更に念押し出来る、
絶好の場を与えられたようなものだ。
「良いご質問を頂きました。
では、これまでお話したポイントを再確認すると…」と
一番大切な要点を手短にまとめて、2、3分で説明すればいい。
そうすると、講演の趣旨をより引き締まった形で、
参加者に伝えることが出来る。
だから、当日のやり取りの報告を聞いた時に、
私自身も「男系限定」論者の主張の核心を聞くことが出来ると思って、やや緊張して耳を傾けた。
ところが驚いたことに、Y氏は壇上で絶句し、
立ち往生してしまったという。
つまり時間をかけて、ああだこうだと、
何となくそれらしい話は出来ても、ズバリ核心を問われると、
答えられないのだ。
会場にいて、何やら有難い話を聞いた気になっていた皆さんは、
すっかり興醒めしてしまったようだ。
それは当然だろう。
貴重な時間を、全く無駄に過ごしてしまったのだから。
しかし、Y氏ばかりを責めるのは酷だろう。
何しろ「男系限定」の根拠を、説得力を持って説明出来た人物は、
今のところ誰もいないのだから。
笑えない笑い話だ。
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